チキチキ!うんこイキすぎ千本ノック!

何を隠そう、このジュンペイという単細胞生物は、食ったらすぐにうんこに行きたくなる、いわゆる"胃下垂"という奴だ。

それも不思議なもので、今さっき食った量の明らかに2倍くらいは出てくる。

どこにそんなにうんこストックしていたのかわからないのがジュンペイの面白くて、愛らしく、そしてうんこくさい理由なのだろう。

まあ、説明はざっとこんなもんで、つまり食ったら2倍の量がすぐ出るうんこマンとだけ覚えておいてくれればいい。

時は少し遡り、今日の昼(日付変わって前日の昼)はサラダチキンを食べた。

午後からは肉体労働のバイトで、少しエネルギーが足りるかどうかは不安であったが、お金もないし仕方がなかった。

高崎シティーパークという、群馬でバンドをしているバンドマン達の家といも言える場所。

そこにオレは愛しのパンクロック号を止めて、缶コーヒー片手にハナクソを掘っていた。

誰かに見せてあげたいぐらい、ブリンブリンのたわわに実った立派なハナクソを、窓の外から放り投げて、隣の車のウィンドウに見事に張り付いたのは流石に笑った。

少し早く高崎の市内に着いてしまったので、タバコでも吸いながら携帯をいじって時間を潰そうと思い、シティーパークから1番最寄りのファミリーマートに向けて脚を運んだ。

12:50を回ったあたりの高崎の街は、昼飯を求めるサラリーマン風の男とOL風の女の子で賑わっていた。

オレはというと、OL風の女の子の尻からくっきり浮き出たありがた幸せハッピーパンティーラインをしっかりと目に焼き付けつつ、無職である自分を恥じる事もなく堂々とその間をかき分けて歩いていた。

ファミリーマートの入り口前、いつもの場所(群馬のバンドマンならだいたいわかるであろう、いつもの場所、そう、そこだ)に腰を下ろしてタバコを吸っていた。

キュルルルル…。

きた。

ソイツはいつも前触れなく訪れる。

そう、うんこだ。

しかし、そんなもの日常茶飯事。

トイレに行って捻り出し、ウォシュレットで舐めれるくらい綺麗にしたあとは、何事もない、いつもと変わらない便意だ。

タバコを揉み消してそそくさとトイレに駆け込む。

ズボンとパンツをずりおろし、便座に座るまでの速さを競ったら、恐らく右に出るものはそうそういないだろうと自負しているつもりの、我ながらうっとりするような手際の良さで、ウンチングスタンバイポジションに付く。

ジリジリと近づいてくる排泄の瞬間を、背筋と腹筋と第六感で楽しむこの瞬間が好きだったりする。

来る、来てる、近づいてきている。

"やつ"はもうすぐそこまできている。

出る…出る…出るぞっ…!!!

その時だった。

「コンコン」

どこぞの空気の読めないノータリンが、人の精神統一の最高の瞬間を邪魔してきやがった。

そのノータリンは間髪入れずに「コンコン」と再度ノックをしてきた。

「入ってます〜」

本当はこちらもノックで使用中を伝えてやりたいところなのだが、いかんせんこのトイレは縦長で、ノックで返事をしようにも扉までの距離がありすぎて、糞尿を垂れ流しながら歩いてノックをしなければならないのだ。

オレも男だ、モテたいし囃し立てられたいし、なによりもシンプルに汚ねえと思うのでそれはしなかった。

オレからの魂の返答が聞こえたのか、ソイツはおとなしくなった。

「やれやれ、ただでさえ糞詰まりなのに、急かされると来たか…たまんねえぜ…!ブリッ!ブリブリッ!ブッパッピッ!!(独り言を心の中でゲキシブボイスで呟きながら)」

1発、また1発と、オレの栄養になった"成れの果て"達がオレの体外へ射出される。

水飛沫が我が臀部に跳ね返ってくる度に「ありがとう、元気でやれよ、世話になったな」と一言、一言言ってやりたい気持ちを抑えつつ、オレは最後の一滴を絞り出すために腹筋に力を入れる。

「…ん!…くっ!」

しかし。

「コンコン」

絶望的なタイミングで鳴るその音は、確実な悪意を孕ませながらオレの耳小骨を大いに響かせた。

「チッ」

思わず舌打ちが出てしまっていた。

人間、不思議なもので、物事をやろうと思った瞬間に「やれ」と言われると急にやる気がなくなるもので、今まさに「やれ」の瞬間が訪れた気がした。

こうなってしまえば、オレの五臓六腑も戦闘モードに突入するわけで、どこぞのノータリンのボンクラせっかち低燃費クソ野郎に立ち向かわなければならなくなってしまうのだ。

この瞬間、ノックがトイレ内に鳴り響いたこの瞬間、オレは心に強く誓った。

「このバカが一回ノックするたびに、トイレから出るのを1分延ばそう」と。

チキチキ!うんこイキすぎ千本ノック!!

カーーーーン!開戦のゴングが響き渡る!!

「コンコン」

(はい、2分〜)

「コンコン」

(はい〜、4分〜)

「コンコンコンコン」

(んんw8分なり〜w)

もちろん要所要所数えていないところもあったが、今となってはだいぶ大人気なかったと反省している、だが後悔はこれっぽっちもしていない。

するもんか、バカ!

ノックをしながら、屈辱的なポーズでオレが出るのを今か今かと扉の前で待ってるのだと思うと、思わず吹き出してしまいそうになったが、なんとか最後の一捻りを便器に産み落とした。

…った〜しょうがねえ、ぼちぼち出るか、とウォシュレット始動ボタンに手を伸ばそうと思った瞬間「まだですかぁ〜」という、人の感情を逆撫でする作法を全て余す事なく使っているであろうその声がオレの闘争心に再度火をつけやがった。

チキチキ!うんこイキすぎ千本ノック!Vol.2の開始のゴングが、マンキンのパワーでオレの中で炸裂したのを感じた。

「だから、入ってますって」

こういう時、人は何よりも冷静かつ冷酷になるのだと思う、自分でもビックリするくらい、無感情で無機質な声のトーンだった。

しかし扉の向こうにいるどこぞのノータリンのボンクラせっかち低燃費クソ野郎が、糞尿を垂れ流してのたうちまわろうとも、オレの憩いのうんちくんタイムを"執拗に"邪魔したとあっちゃ、仕方がないのだ。

お互い、高崎という名の荒野で野生で生きている以上、今回はただ単に「相手が悪かった」と思うしかないではないか。

勉強になっただろう。

それ以来ソイツは、ピクリとも音を立てずに忠犬ハチ公の様にいい子にして待っていた。

ウォシュレットで丁寧に流し、乳飲児のほっぺたを撫でるように、そっとペーパーで拭き取ったオレの大切な排泄口は、舐められるくらい綺麗になっている事だろう、いつもありがとう。

結局のところ、結果だけを言うと、ソイツはちゃんと我慢をして待っていた。

ガラガラと扉を開けた瞬間、ソイツは何かを言いたげな目でオレの顔を一瞬チラ見したが、きっとそれどころじゃなかったのだろう、壁に張り付きながら、トイレから出てきたオレを避けて一目散にトイレに駆け込んでいった…。

改めて言おう。

悪い事はしたと思っている。

しかし、何事も順番ってのがあるだろう。

誰だって横入りされたらムカつきもするし、間違えて殺めてしまいそうにもなる。

せっかちを押し付けるのは良くないよ!という、オレからのありがた迷惑なクソ説教だと余ってくれれば、それはとても幸いだ。

…と、まあ今ここまで読んだあなたのその貴重な時間を、こんな汚ねえブログで使っちまったのは、それはとても申し訳ないと心から思う。

だがしかし、読んでくれて、どうもありがとう。

こんな下痢便を垂れ流したみたいなシャバシャバで薄い内容のブログだ、うんこと一緒にトイレに流して綺麗さっぱり忘れてくれよな。