三連休の最終日。
浮かれ、たぎった高崎の連雀町は、赤い顔の酔っぱらいとナンパでハンパなみーちゃんとはーちゃんでごった返している。
友達がアコースティックライブをやるってんで、向かったライブハウスに、なんだか居心地が悪くなって、飲み掛けのビールをトイレに小便と一緒に流して、ひっそり抜け出した。
しばらく続いてる雨も、天気予報では明日からまた晴れるとの予報。
ついでにこの胸のもやもやも連れて行ってはくれまいかと、すがる藁もないフーテンが、しけった空に湿気ったタバコを燃やす。
男はSIONの【街は今日も雨さ】を口ずさみながら、居心地の良い方のライブハウスに向かった。
もちろん傘もないし金もない。
あるのは無限に広がる夢のガラクタと誰かを殴り飛ばしてウサでも晴らすかなっていう破滅願望のみである。
滑って転びそうな足元の悪さを、時代のせいにして一歩一歩転ばないように。
たどり着いた居心地の良いライブハウス。
いざ。
しかし、入口の鍵が空いてない。
踏んだり蹴ったりだ。
明かりはついているのに。
人の気配もあるのに。
透明人間でも、これほどの仕打ちを受ければ次につながる何かをするはずだ。
街は今日も雨さ。
ずぶ濡れの心の向こうに。
標識が霞んで見える。
街は今日も雨さ。
捨ててあった傘。
拾ってさした。
骨が折れていてかたちんばに広がる。
良いじゃないの。
酔っ払った独りの男は、傘も刺さずに、アスファルトにうつ雨の音で、鼻歌を口ずさんでいた。