「生きるのって難しい」

一緒に飲んでた友達がそう言ってた。

「みんなそう思ってるよ」

俺は自分で、どの口が言ってるんだ、と返事をしながら少し恥ずかしくなった。

真面目に生きているわけではない。

かといってデタラメじゃないかと言われたらそうかもしれない。

12月の雲がさらに高くなって、冬のからっ風が落ち葉を吹き飛ばし、踊りながら俺の足元でもつれる。

丸まった背中でポケットに手を突っ込み、明日の食い扶持と手持ち無沙汰を楽しんでいるフリをしながら、世間のクリスマスムードを煙たがり、タバコを吹かす煙たい毎日。

熱燗が飲みたいねと流れ込んだ居酒屋で、トックリが頭を下げれば下げるほど、2人の会話は上ずったものになっていった。

からっ風が窓を叩いた。

閉店の合図だ。

店の外のポリバケツ、今から蹴っ飛ばすから笑ってくれないか。

2人の間を縫うように、冬の朝のからっ風が、耳元でブルースを奏でて吹き抜けていった。