我、一塊の肉塊なり

風が冷たい。

季節が寒いわけじゃない。

ただなんとなく頬を殴りつける風に優しさは微塵も感じられないくらい疲弊していた。

とぼとぼ歩いていく道は、帰る道のはず、確かに俺は帰路に着いたと思っていたのに。

水銀の街灯がチカチカと目障りに点滅していた。

公園のベンチに腰を下ろし、少し病んでいるフリをしてみる。

さながら映画のワンシーンのような、ノスタルジックなナルシズムに肩を落とす主人公のように、いや、それに似た何かになりたいのかも知れない。

タバコを買いに行こうか迷っていた。

正直言って、こんなものやめちまいたかった。

金もないのに贅沢品なんて、なんて言われる前にスパンとやめちまった方が潔いのかも知れないけど、これなしの今後の人生は考え物だ。

頭がイカれたフリをするのは、昔から得意だった。

人に優しくするのも得意だった。

優しくされるのは嬉しかった。

だけど、生きるのは昔から苦手だった。

嫌われないように、当たり障りのない奴になっていた。

消費浪費無駄遣いがやめられない。

おいでよヘドロマン、一緒に踊ってくれないか。

ご周知の通り、俺は正直言って、頭が悪い。

バカとは違うと言いたいけれど、決して良いと言うには程遠いところにいる。

脳みその考える部分を、どうやら母親の子宮の中に忘れてしまったらしい。

それか無様に生きてるうちに、人間の考える力の部分を大いに欠落させて生きてきたのかも知れない。

唸りくれたい毎日だ。

飯を食ってクソして寝るだけで疲れる。

助けてほしいわけじゃない。

これっぽっちも。

ただ、少しでいいから日の目を見せてくれないか。

瞳孔が開いちまいそうなんだ。

神様の顔なんて知らねえし、むしろ考えたこともない、けど面白くない奴なのは間違いない。

神様に会ったら伝えておいてくれないか。

くたばりやがれってね。