愛のぬけがら

猫がいない家に、多すぎないくらいの家具と大き過ぎるファミリー用のテーブル、そして金のなさ過ぎる男が1人。

 

猫どもが我が家から居なくなってちょうど1週間が過ぎた。

洗濯物の山からTシャツを引っ張り出すと、猫どもが脱ぎ落とした抜け毛が絡み付いてる。

生え変わりの季節、冬毛の季節。

「ただいま〜…って誰もいないんだったw」

と1人寂しく帰る家も少し慣れてきた。

オレが家の扉開けたら、必ず2回から降りてきたアイツらも、今は幻影だけが足跡を鳴らして階段を降りてくる。

不意に視界に黒いもの白いものが映り込むと、いたのかい?と目をやるも、あるわけがない。

キャットフードのお皿もまだ片付けてない。

なんだか片付けられない。

踏んづけてお皿をひっくり返した。

思わず舌打ちしたけど、なんだか虚しくなって全部ゴミ箱に捨てた。

元気でやってるか〜。

オレは、お前ら猫どもシックだぜ〜。

今着てるこの部屋着にも、ポツリポツリと抜け毛がついてる。

愛のぬけがら達が、幻影だけで残っている。